食パン物語 – 健幸食パンは地域から生まれた食パン –

「健幸食パン」は地域から生まれた食パン

地域と食パンの関係について

ぱんなり!のある京都東山区は京都の中でも少子高齢化の進んでいる行政区で、とりわけぱんなり!の所在地である本町は、その傾向が顕著に表れてる地域になります。

そこでパン屋として開業するにあたって、どうすればこの地域の特徴にあったパンを届けられるかを考えました。地域の人口、年齢分布、近隣の駅利用者数、パンに関する統計、いろいろと調査した結果この地域には「高齢の方がとても多いこと」「高齢になるに従って食パンを好む傾向がある」という2点が分かりました。

だったら、美味しいのはもちろんのこと、高齢の方に喜んでもらえる食パンを提供したい!と思うようになりました。栄養価が高くバランスがよくて身体に良い食パンです。

おじいちゃん、おばあちゃんは入れ歯だったりするし、口当たりは柔らかいのが前提。耳は捨てるのではなくて味わうものとして耳までも柔らかく食べられた方がいいだろう。舌触りは優しく、ほのかな甘さと小麦の香り。

そして、味だけのこだわりではなくて、食べて身体に良い食パンとは?と考えました。

その一つの答えが食パン+「玄米」

そこで玄米というキーワードが頭に浮かびました。

玄米の効果効能は皆さんご存知の通りだと思います。それを朝食に食パンを食べながらにして身体に摂り入れることができれば。

年齢を問わず健康に対して関心が高まり、食への意識も高まっている。ましてや高齢になるとなおさら健康への関心と需要は高くなるだろうし…

玄米が身体に良いことは知っていても、いざ食べるとなると炊飯など手間でつい億劫になってしまう。玄米にこだわる人なら一晩玄米を水に浸けて発芽させ、そのタイミングを見計らって炊飯を始める。他にもいろいろあると思いますが、手間のかかる玄米を手軽に食べることができたなら。。。

一方で、玄米の効果効能を知りながらも、玄米の持つ独特の香りや色、戦後体験から玄米を敬遠されてきた年配の方も少なくないはず。

そんなおじいちゃん、おばあちゃんにもクセもなく気軽に食べて欲しいと思い、さまざまな工夫をこらし食パンに玄米をブレンドしています。しかも、小麦の量に対して玄米を20%もの量でふんだんに入れています。なので、玄米を意識することなく自然に身体に摂り入れることができます。

定期的に食べてもらうことで、おじいちゃん、おばあちゃんが少しでも身体の内から若返り、常用薬の量が少しでも減ればいいな、とそんな想いを込めながらつくり始めました。

世代を越えた会話

そして、もう一つ、この地域の特徴として2世代〜3世代にわたる家族が多いことです。高齢化しているということは、同居、別居は別として世代を越えた家族が多いという特徴です。

ならば、美味しい食パンを囲って、家族で会話が弾み、笑顔が溢れる時間が生まれるといいな、おじいちゃんやおばあちゃん世代から息子娘世代、また孫の世代まで、その世代でしか伝えられないこともあると思います。そんな交流のきっかけとして食パンのある食卓があれば素敵だな、娘さんがおじいちゃんのために「美味しい食パン買ってきたよー!」と会話が始まる。

そんな風景をどれだけ創れるか。。。

「家族のための健幸食パン」というコンセプト

そんな想いから生まれたのが「家族のための健幸食パン」というコンセプトです。

美味しいものを食べることで「健」やかに「幸」せに。

美味しいものを食べることで会話が生まれて皆が笑顔になる。

そんな光景が家族単位で一つづつ生まれ、それが町内、地域へと拡がれば「地域のパン屋」としては立派な役目を果たすのではないか?その想いを胸に2年前(2020年7月)にオープンしました。

開店後のエピソード

オープンしてから想像していた通り年配の方が多く来店されました。

そんな中で、ある女性が嬉しそうな顔で来店され、このようにお話しされました。

「うちのね、おじいちゃんがここのパンは美味しい!て言ってパクパク食べてくれるの!高齢で食が細くなっていて、あまり食べ物を食べなくなっていたの。でも美味しい、美味しいと言って食べてくれるの。食べることが大好きなおじいちゃんだっただけに、それを見るのが嬉しくて!!!」と。

その後も定期的に買いに来てくださいました。

数ヶ月経ったある日。

その女性が、また来店されました。

「今日は、健幸食パンをお供えしたいので箱に入れてもらうことはできますか?」と。

事情を伺うと、おじいちゃんが亡くなったそうで、その墓前へのお供えにわざわざ買いに来てくださったのです。

いつも食べてくださっていたおじいちゃんが亡くなったことに非常に残念な想いをしました。と同時に墓前にお供えをするというおじいちゃんへの想いと、おじいちゃんは来世でもぱんなり!の健幸食パンを食べてもらっていると思うと感慨深いものがありました。

これは開業後、間も無く経験したリアルストーリーです。

他にも、たくさんのストーリーがあります。

週に2回くらい買いに来てくださるおばあちゃんがいます。

曰く、お父さんが、よその(ほかの)パンは食べられへんからぱんなり!の健幸食パンを買ってきてくれと。

それでいつも来店いただくのですが、ある日おばあちゃんは、お父さんに内緒で違う店の食パンを判らないだろうと思って食べさせたらしいんです。そしたらお父さんが、いつものと違う!と怒ったというエピソード。

もちろん、おばあちゃんに悪気はなく、たまたま当店で買えなかったので別のお店で買い物ついでに買われただけなのですが、その時のやりとりの様子を笑いながらお話しされていて、こちらもとても嬉しかった出来事です。

開業後、2年しか経っていませんが、残念ながら高齢の街です。いつも拝見したいたお顔が見られなくなった方も何人かいらっしゃいます。私自身も仏前に健幸食パンをお供えさせていただいたこともありました。

お亡くなりになるのは残念なことですが、でも、残された家族には「健幸食パンを美味しそうに食べてた」という記憶が残っていて、その当時を思い浮かべて嬉しそうに話して下さいます。

そのようなことがあると、少しは地域の役に立てているのかなと感じ、地域のパン屋の役目を果たしていると嬉しくなります。

意外に小さなお子さんにもうけがいい

また、ご高齢の方ではなく、小さな子供さんにも喜ばれています。正確には子供さんのお母さんに喜ばれています。

「この子は普通の食パンは食べないの」

とおっしゃるママさんが意外にいらっしゃいます。パサパサしたのが嫌なのか、淡白な味が口に合わないのか、そのような声を結構聞きます。

そんなママさんが子供と一緒に来店されて、健幸食パンを子供に試食させます。で、子供が食べたら買うという現象を何回もみました(笑)お母さんは子供をテスター代わりにして「この子は美味しいものしか食べないのー!」と嬉しそうな笑顔とともに、ここのは美味しい!と安心するようです。

ママさんからは「ジャムをつけなくても、そのままパクパク食べてくれるので助かる」「安心して子供に食べさせられるから嬉しい」というような声もたくさん頂いてきいます。

美味しいとは最高のギフト♡

たくさんの方から「美味しい」と言ってお買い上げ頂いています。

人が「美味しい!」と言う時、美味しいと言った人とその場にいる人、皆が嬉しくなる。

嬉しくなるとそれを人に伝えたくなるし、伝えられた人もまた嬉しくなる。そんな連鎖の原点が健幸食パンであれば、作り手としても嬉しいですし、やりがいのある仕事です。

一言で「美味しい」と言っても、そこには食べた人と関わった人の数えきれない背景があり、その背景の数だけ「嬉しい!」があります。「美味しい!」という一言には、たくさんの「嬉しい!」がぎゅーーと詰まった最高の言葉であり、人を幸せにするギフトだと思います。そして、そのギフトはまた新しい物語をつくっていくことでしょう。

これからも、たくさんのギフトを届けていけたらと思います!

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